今から32年前
俺はサンフランシスコにいた。
ウエスタンホテルという名の宿で
長期滞在して居た。
家賃は二万五千円位で朝食付き
ゆで卵 食パン コーヒー
俺は4階建ての一番下の階段のところで
コーヒーを飲むのが日課で
そこにいるといろんな人が集まってくる。
なんか落ち着いて
ゆっくりした時間が流れた。
階段を降りてきた廊下に
ソファーがあり、その前に
お変わり自由のコーヒーが
置いてあった。そこのホテルに
長期滞在しているのは
日本人とフランス人
あとアイルランド人1人とアメリカ人1人
あ 上から人が降りて来た
伊藤さんだ「おはよう」 「おはよう」
伊藤さんの声は太くて
渋いというか どしが来てるというか
そこからあーでもない こーでもないという
たわいも無い話が始まる
それがなんか落ち着く
悪くいうと
なんか日本の暮らしがやになり 逃げてきた
連中が傷の舐め合いって感じだ。
伊藤さんは元雷族 東京の暴走族
やたらに手が大きい
ちょび髭を生やした
40ぐらいの人 若い時はその手で
人を殴り飛ばして来たって感じ
でも俺ととっても気が合う、
ここサンフランシスコで本当に英語を
マスターしようと一生懸命努力していた。
黒人の生のスラングを
勉強するため外に出て
黒人と話をする
俺 伊藤さん他何人かの
日本人が英会話学校に
通っていた 。
アメリカ政府がやっている
移民のための英会話学校だ。
その当時は無料で好きな時間の
クラスを選べる自由な学校
そんな学校があること自体
アメリカの大きさを感じた。
「おはよう」「おはよう」「おはよう」
次から次へと人が降りてきて
キッチンに向かう
「おはよう」
フランス人のジルだ 彼は40ぐらい
朝ごはんの後いつも
チロルチョコのようなものを食べる。
ジルはギターを弾く
俺のギター友達だ。なんか40なのに
愛らしく子供のような目をしている。
このホテルには色んな人が住んでいた。
だからなんか飽きない 楽しい
いつもそんな感じで1日が始まる